借入なしで資金繰りできるファクタリングは保有資産の1つの売掛債権を譲渡・売却して、事業資金へ転換しやすい現金に置き換える資金調達手段です。
借入なしの資金調達なので貸借対照表(B/S)上の総資産が増えず、総資産利益率(ROA)や自己資本比率(ROE)の低下による会社の評価低下リスクが避けられるのが魅力です。
ファクタリングの利用で、資産のオフバランス化を推し進めながらの資金繰りが行えるので近年急速に普及していますが、利用時に注意したいリスクも存在するので紹介します。
経営スマート化に最適な資金調達!売掛債権を現金に置き換えるファクタリングとは?
2005年の改正民法施行で「債権譲渡法制の改正」が行われ、急速に活性化したファクタリングは保有資産の売掛債権を第三者に譲渡・売却する資金調達手段です。
資金借入れのように総資産を増やさず資金繰りできるので、総資産利益率や自己資本比率が低下しないので会社の評価の低下リスクが少ないのがファクタリングの魅力です。
会社評価の目安となる財務指標の総資産利益率(ROA)・自己資本比率(ROE)とは?
その会社にどの程度の生産性があるのかは財務指標から図ることができるので、会社の評価を行う際には総資産利益率(ROA)や自己資本比率(ROE)が重要視されます。
総資産利益率(ROA)は売上高の純利益率に総資産回転率を乗算して算出し、自己資本比率(ROE)は総資産利益率に財務レバレッジを乗算して算出した数値です。。
総資産利益率と自己資本比率の算出計算や計算条件は以下のとおりです。
- ROA(%):純利益/総資産=売上高純利益率×総資産回転率
- ROE(%):純利益/自己資本=売上高純利益率×総資産回転率×財務レバレッジ
- 売上高純利益率(%)=純利益/売上高
- 総資産回転率(回)=売上高/総資産
- 財務レバレッジ(倍)=総資産/自己資本
総資産には自己資本以外に融資を受けた借入資金や売掛債権などの全ての資金が含まれ、この指数からその会社にどの程度の生産性があるかを図ることができます。
自己資本率は会社が稼ぎ出した利益のほかに投資を募って得た資本などが含まれ、保有資産をどれだけ効率的に運営資金に転換しているかを図ることができます。
これらの財務指数から得られる情報は、投資家の投資指標や金融機関の審査資料となるので会社の評価に影響し、数値が低下すると会社の評価が下がるリスクが生じます。
ファクタリングは流動性の低い厄介な資産の売掛債権を現金に置き換えられる
売掛債権は総資産に含まれますが、支払い期日までは事業資金へ転換できないので、黒字倒産リスクに繋がるキャッシュフローの悪化原因になりかねない厄介な資産だと言えます。
厄介な資産の売掛資金を譲渡・売却し、すぐに事業資金に転換できる現金に置き換えるのがファクタリングで、資産処分なので総資産を増やさず資金繰りできるのが魅力です。
円滑な会社経営のために推奨される経営スマート化の実現には、資産のオフバランス化が強く求められますがファクタリングは資金繰りとオフバランス化の両立を実現できます。
ファクタリングでの資金調達にもリスクはある!ファクタリングのリスクとは?
ファクタリングは、会社評価の指針になる財務指標の総資産利益率や自己資本比率の低下リスクがない魅力的な資金調達方法ですが、利用には一定のリスクが潜んでいます。
リスクを正確に掴まずにファクタリングを利用すると思わぬトラブルに繋がる可能性が生じるので、トラブル回避のためにファクタリングに潜むリスクを紹介します。
資金繰りに利用したいファクタリング!ファクタリングに潜むリスクとは?
ファクタリングは資金繰りに利用したい魅力的な資金調達手段ですが、残念ながら一定のリスクが潜んでいるのも事実なので、リスクを正確に掴んだ上で利用するべきでしょう。
ファクタリングには利用の過程に応じたリスクが潜んでいるので、これらのリスクを正確に掴み回避できる方法で着実にファクタリングを利用する必要があると言えます。
ファクタリングの利用契約の過程に潜むリスクとは?
ファクタリングで資金調達しようと利用契約を結ぶ際は次に挙げるように多くのリスクが潜んでいるので注意が必要です。
ファクタリングの利用契約の過程には次に挙げるリスクが潜んでいます。
- 悪徳業者を引き上げるリスク
- 審査通過できないリスク
- 取引先に資金調達を知られるリスク
悪徳業者を引き当てるリスク
融資は金融庁から貸金業の認可を受けた貸金業者しか扱えませんが、融資ではなく債権譲渡や資産売却を行うファクタリングは貸金業者以外の業者でも取り扱えます。
このため信頼できる優良業者のなかに悪徳業者が紛れ込み、正式なファクタリングではなく悪質な違法融資に利用者を巻き込もうとしているのも事実です。
うっかり悪徳業者を利用すると理想的な資金繰りが行えないばかりか、面倒な金銭トラブルに巻き込まれかねませんので、業者選定は慎重に行うことを強くおすすめします。
審査通過できないリスク
ファクタリング利用時には利用者と売掛金を支払う会社の信用調査などの審査と共に、取引する債権の内容の審査も行われ審査通過できなければ利用できません。
ファクタリングは利用者と業者間のみで行う二社間取引と債権が譲渡・売却されることを売掛金を支払う会社に通知し合意を得る三社間取引のどちらかで行います。
三社間取引は売掛金を支払う業者の業績や今までの支払い履歴などを重視した調査を行い審査するので、仮に利用者が業績不調でも審査落ちリスクは大きくありません。
しかし二社間取引は利用者も審査対象になるので、税金滞納や保険料の未納などがある場合は審査落ちリスクが大きくなり資金調達できなくなるケースも存在します。
取引先に資金調達を知られるリスク
三社間取引は売掛金を支払う会社に通知し合意を得て債権取引を行うので、確実に資金調達が取引先に知られてしまいます。
売掛金を支払う会社に通知せずに取引を行う二社間取引は取引先に知られず資金調達できるのが魅力ですが、未回収リスクを低下させるため業者が通知するリスクがあります。
債権取引で資金繰りすることで「運転資金に困っている問題のある会社では?」と疑われるケースがあるのはリスクだと言えます。
ファクタリングでの現金化の過程に潜むリスクとは?
無事にファクタリング契約を結び保有する売掛債権を現金に置き換える過程にもリスクは存在し、現金化後にもリスクは潜んでいます。
ファクタリングでの現金化の過程や現金化後には次に挙げるリスクが潜んでいます。
- 譲渡・売却した債権額より資金が減少するリスク
- 返品やリコールで生じる債権希薄化リスク
- 売掛金が回収不能になるデフォルト(債権不履行)リスク
譲渡・売却した債権額より資金が減少するリスク
ファクタリングで現金に置き換えられるのは譲渡・売却した取引債権額から業者利益や業者が負担する未回収リスクに応じた金額が差し引かれ資金減少リスクが存在します。
掛け目率以外にも債権譲渡登記手続き費用や事務手数料、司法書士報酬などは利用者負担で、二社間取引の場合は実質換金率が65~70%程度となり資金減少リスクがあります。
返品やリコールで生じる債権希薄化リスク
売掛金の支払い期日までに返品やリコールなどが発生すると、ファクタリングで譲渡・売却した債権額が目減りする債権希薄化リスクに繋がります。
既にファクタリングで現金に置き換えた売掛債権の支払額が減少するので差額を返金する必要がありますが、大量返品が発生すると資金繰りに行き詰まるリスクがあります。
ファクタリングでの資金調達はリスク回避が絶対条件!効果的リスク回避方法とは?
売掛金を支払う会社の倒産や吸収合併などで売掛金が回収不能となるのがデフォルト(債権不履行)リスクで、ファクタリングした後に発生するケースも珍しくありません。
ファクタリングの掛け目にはデフォルトリスクで生じる損金が織り込まれていますが、契約内容によっては金銭トラブルとなるリスクが大きいと言えるでしょう。
ファクタリングでの資金調達はリスク回避が絶対条件!効果的リスク回避方法とは?
効果的に資金調達を行えるファクタリングは魅力的ですが、一定のリスクが存在するので理想的な資金繰りを実現するためにはリスク回避が絶対条件になります。
前項で紹介したファクタリングの過程に応じて潜むさまざまなリスクを効果的に回避するためのポイントや注意点などを紹介します。
ファクタリングの利用過程に潜むリスクの効果的な回避方法とは?
保有資産である売掛債権を譲渡・売却して現金に置き換えるファクタリングには、利用過程ごとにリスクが潜んでいることは既に紹介したとおりです。
リスクに気付かず利用すると金銭トラブルに巻き込まれ効果的な資金繰りの実現が困難になるので、ファクタリングの利用過程に潜むリスクの効果的な回避方法を紹介します。
ファクタリングの利用契約の過程に潜む3つのリスクの回避方法とは?
既に紹介したとおりファクタリングの利用契約の過程には、次の3つのリスクが潜んでいます。
- 悪徳業者を引き上げるリスク
- 審査通過できないリスク
- 取引先に資金調達を知られるリスク
悪徳業者を引き上げるリスクの効果的な回避方法とは?
うっかり悪徳業者を引き当てないためには「どんな業者なのか?」を慎重に見極める必要がありますが、巧妙に正式なファクタリング取引を装うので見極めは困難だと言えます。
しかし悪徳業者には
- 無店舗でしつこいテレアポ勧誘をしている
- ファクタリングの仕組みを十分理解していない
- 利用契約に返済・利息・連帯保証人を求める
- 償還請求権なしのノンリコースで契約しない
- 掛け目率が低く高額手数料を提示する
- 課税されない消費税を徴収しようとする
などの特徴があるので、これらの条件に1つでも当てはまる業者の利用は見送ることをおすすめします。
審査通過できないリスクの効果的な回避方法とは?
融資審査よりは通過ハードルが低い傾向にあるものの、ファクタリング利用時にも審査が行われるので審査を通過する必要があります。
事業規模の大きな売掛先の債権や継続取引の見込める債権の利用や、税金や保険料を確実に納付することなどで審査落ちリスクを軽減することは可能です。
また取引先の理解が得られる場合は、三社間取引を利用すれば二社間取引よりも審査落ちリスクを大きく下げられる傾向にあります。
取引先に資金調達を知られるリスクの効果的な回避方法とは?
取引先に知られずにファクタリングで資金調達するためには二社間取引を利用するしかありませんが、うっかり悪徳業者を利用すると勝手に通知されるケースもあります。
既述の悪徳業者の条件に1つでも当てはまる業者の利用を控えることが、唯一利用者ができる自衛方法だと言えるので業者の見極めを慎重に行ってください。
ファクタリングでの現金化の過程に潜む3つのリスクとは?
無事ファクタリング利用契約の過程のリスクを回避して現金化の過程に進んでも、現金化の過程にも次に挙げる3つのリスクが潜んでいます。
- 譲渡・売却した債権額より資金が減少するリスク
- 返品やリコールで生じる債権希薄化リスク
- 売掛金が回収不能になるデフォルト(債権不履行)リスク
譲渡・売却した債権額より資金が減少するリスクの効果的な回避方法とは?
ファクタリングで現金化することで売掛債権額より手に入れられる資金が減少するリスクは、契約時に掛け目率や手数料をしっかり確認することで回避できます。
ファクタリンでは融資の利用で発生する利息や消費税が発生しませんので、この点を見逃さないこともリスク回避のポイントになります。
また利息制限法はファクタリングには適用されませんが、利息制限法の上限金利である年利15~20%を大きく上回る手数料を請求するのは悪徳業者の可能性があります。
あまりにも実質換金率が悪い場合はファクタリングを装った違法融資の可能性があるので利用は控えるべきだと考えられます。
返品やリコールで生じる債権希薄化リスクの効果的な回避方法とは?
ファクタリングは譲渡債権が回収不能となっても、利用者に買戻し義務がない償還請求権なしのノンリコースで取引するのが一般的です。
しかし債権希薄化はノンリコースの適用外なので債権額の減少分は利用者負担となりますので、返品発生時には「いくら分返品されるのか?」を早急に確認する必要があります。
ファクタリング業者に対し真摯な態度で対応することが債権希薄化リスクを金銭トラブルに発展させず回避するポイントだと言えるでしょう。
売掛金が回収不能になるデフォルト(債権不履行)リスクの効果的な回避方法とは?
既述の債権希薄化リスクはノンリコースの適用外ですが、売掛債権が回収不能となるデフォルト(債務不履行)リスクにはノンリコースが適用されます。
ノンリコースで債権と共に未回収リスクも譲渡できるのもファクタリングの魅力の1つなので、ファクタリングの契約内容がノンリコースであることを確認してください。
取引方法のなかには譲渡債権が回収不能になると、利用者に買戻し義務が生じる償還請求権ありのウィズリコースも存在し悪徳業者はこちらで契約したがります。
ファクタリングの特徴の1つノンリコースで確実に契約することが、デフォルトリスクを回避するポイントになります。
ファクタリングでのリスク回避には正確で最新の情報を掴むのが重要
財務指標に悪影響を及ばさずに厄介な資産の売掛債権を現金に置き換えられるファクタリングは、上手に利用すれば非常に高い効果を得られる資金調達手段です。
しかし、利用の各過程にはリスクが潜んでいるので確実にリスク回避しながら資金繰りする必要があります。
借入なしの資金調達が可能!ファクタリングとは?
- 保有資産の売掛債権を第三者に譲渡・売却する資金調達手段
- 魅力的だが、一定のリスクが存在する
- リスク回避には正確で最新の情報を掴むのが重要
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